気仙で暮らし、働く

当事者として復興・まちづくりに携わりたいと移住した気仙での日々のこと、暮らしのことをつづります。

バリケードの理由

だれもが、まさか、と思って背筋が冷えた昨日ー。お昼過ぎ、プロジェクトスタッフから電話がかかってくる。「軍隊がプラトー(ビジネス地区)で、バリケードをはってる。軍服の人たちが道に繰り出していて煙も見えるし、オフィスは閉鎖して、今日はみんな帰ります」。合同庁舎からも続々と公務員が帰途についているというし、実際主要道路が閉鎖されているので、我が社の窓から見えるプラトーは大渋滞だ。

ニュースをつけてみると、全国の主要都市で、軍が給与未払いの変換、そして昇級を求めてデモを行っているとう。1999年、2004年とコートジボワールのこれまでのクーデターは軍隊への給与未払いが理由の一つだった。それに、①軍隊、②教師への給与支払いが遅れ始めた時にクーデターのリスクが一気に高まる、と聞いたことがある。2011年の終戦からここまで持ち直し着たのに…と、考えていると、夜のニュースで治安大臣が支払いを約束し、平穏を取り戻すように呼びかけていた。単純な言い方だけれど、治安の悪化は復興の取り組みを一気にゼロにするーアフガン、南スーダンで撤退を余儀なくされたときの苦い思いが押し寄せる。

落ち着いていることを祈って、今日、合同庁舎に行くと昨日よりいっそうのバリケードと、若者が繰り出している。ミニバスがあふれんばかりの若者をのせて、プラトーにどんどんと若者を吐き出している。バスには旗が掲げられているー。

これは、いよいよー。

と思ったのは一瞬。ちょっと待て。若者はみんなオレンジ色のユニフォーム、そして掲げている旗はもちろん、コートジボワール国旗である。そう、今日はアフリカネイションズカップで背水の陣のコートジボワールが、好敵手のカメルーンとホームで戦う日。引き分け以上なら本戦への出場が可能になる。

プラトーの真ん中に鎮座するスタジアムにアビジャン中の若者が押し寄せていたのである。そして、スタジアム周辺の道路は入場ルートを確保するために全部閉鎖。そのせいで渋滞は昨日の比ではない。

「すごい渋滞だけど、もうみんな給料未払いは忘れてるよね。だからサッカーはいいよなぁ。」と、昨日電話をしてくれたスタッフが横でつぶやく。

いや、知っていて、心から納得しているけれど本当にすごいわ。この力。ちなみに、マッチは引き分けで、1月に実施される本戦への出場が無事に決定しました。