大統領の叙勲式挨拶(ウラの世界)
日本社会の曖昧な愛想笑いや、イギリス社会のブラックユーモアや、フランス社会のとりあいずしゃべるところなど、それぞれの文化でそれぞれの「社会の潤滑油」のような事があるなかで、コートジボワール人社会では、生活にしろ、仕事にしろ、遊びにしろ、その役割が「ちょっと皮肉」にとらえて「笑いをとる」ことのような気がしている。
だから、アフリカで多くあるイメージの一つに、独裁者がいて住民がとことん搾取されていたり、政治家が好き勝手やって、人々は窮屈に息苦しく生きる、というのがあるけれど、それよりも、コートジボワールの人々は、社会をよく観察し、この30年にわたる政治に蹂躙された「危機」の時代も「笑い」をとって、したたかに、たくましく生きている。
そういうわけで、大統領の叙勲式挨拶もテレビを見ながらこんなつっこみをしては笑っているのである。
原文「23年、実に4半世紀待ち続けました。」
ツッコミ「23年、実に4半世紀私は待ち続けました。当時、私は首相でした。大統領になるために実に20年かかりました。」
原文「エレファンツのゴールデンジェネレーションは、この黄金の優勝カップだけでなく、コートジボワールに栄光をもたらしてくれました」
ツッコミ「エレファンツのゴールデンジェネレーションは、この黄金の優勝カップだけでなく、私に選挙キャンペーンをするチャンスを与えてくれました」
原文「勝利というたった一つの目的のために、、、」
ツッコミ「2015年大統領選挙勝利と言うたったひとつの目的のために、、、」
原文「ことわざにもあるように、2度あることは3度あります、2017年の優勝カップも狙いましょう!」
ツッコミ「ことわざにもあるように、1度あることは2度あります、2015年の大統領選挙も狙いましょう!」
原文「エレファンツに幸あれ、勝利するコートジボワールに幸あれ、共和国に幸あれ」
ツッコミ「エレファンツに幸あれ、ワタラ政権に幸あれ」
涙ぐんだり、腹がよじれるほど笑ったり。感情の起伏豊かに生きている人々の間で私も感情豊かに生きている気がするし、そして、この、ちょっとナナメに物事をみるーコートジボワールの水が私にあっている理由が、この辺りにもある気がするのである。
写真:優勝パレード。大統領車(先頭)に大統領とヤヤ・トゥーレが乗りパレード。式典で選手の何人かに「私はワタラを支持します」というTシャツを着せた。