気仙で暮らし、働く

当事者として復興・まちづくりに携わりたいと移住した気仙での日々のこと、暮らしのことをつづります。

許しを請う

コートジボワールの今の社会を理解するにあたって「許しを請う(demander pardon)」は一つのキーワードだろう。すなわち、2011年4月11日の終戦までの罪を認め、許しを請い、そして許し、平和になりましょう、という今の国家政策の一丁目一番地である。

これはアパルトヘイト後の南アフリカで使われた「真実和解委員会」のやり方で、ぶっちゃけていえば、謝るから許してね、ということなのだけれど、コートジボワール人と言えば、謝るのが苦手、言い訳は文化というメンタリティの持ち主なので、こうやって国として掲げ、少しでも進めて行くほか無いんだろう。

紛争後から復興期にわりと共通した傾向だと思うのだけれど、終戦直後は流通する武器や民兵や残党で重篤な犯罪が多いので人々が外に出て来ないことに加え、多国籍軍が駐留していて治安が押さえ込まれていることもあって、スリ・カツアゲといった一般犯罪は少ない。それに引き換えて治安が安定し、経済が上向いてくると確実に増えてくるのがこの一般犯罪。そして、空港でのカツアゲだ。

3年くらい前からアビジャンに出入りするようになったけれど、例にもれず、ここ1年ほど外国人を狙ったカツアゲが流行している。持ち出し現金が限度額を超えているとか、なんだかんだ難癖を付けて、時にはストレートに「のどが乾いた」だの「お腹がすいた」だの、財布の中まで見てくるのである。

まぁ、カツアゲとは言っても命を取られる心配は無いし、丁々発止は面白いし、勝ったときの達成感はすばらしいのだけれど、公的権力に逆らうのは(いや、逆らっては無くて不正に対抗しているんですけどね)、勝率は低いし、負けたときの悔しさが何とも言えないので、法に基づいて、正々堂々と戦うことにした。

「本気で調べるわよ。」「ウイ、マダム」

コートジボワール人スタッフと調べ始めると、「上限50万FCFA」「超過額の30%が罰金」と、税関が電話で教えてくれた。ということで、この根拠となる法律を探すべく、情報をかき集めること3週間。50万FCFA以上は持ち出せないということは法律で発見できたけれど、罰金についての法律が見つからない。当の財務省に聞くと、「現場でどうやってコントロールしているか知らない」という。なんとまぁ。それでも、粘り強く、数日後「マダム、分かりました。法律がみつかかりました。」と、スタッフが1枚の紙を持って来た。それを見てみると、

「超過額は全額没収される」と書いてある。

私「何なのよ。30%じゃないじゃない。」

スタッフ「それが、税関に電話で聞いてみたら、法律では全額だけど、その場で旅行者が「許しを請えば(demander pardon)、許して、3割にしてくれるみたい。旅行者は全額とられなくてすむし、係員の懐はあったまって、お互いにハッピーだから」だからだって。

いや、それは許しの請いどころが間違ってるぞ...