気仙で暮らし、働く

当事者として復興・まちづくりに携わりたいと移住した気仙での日々のこと、暮らしのことをつづります。

暗殺スポット

初めての街に行ったときは一望できる場所に行きたい。これはマスコミも同じらしく、取材の際に、通訳の情報、オススメレストランの場所に続いて必ず聞かれる質問である。アビジャンで高い建物は限られているし、わりと起伏のある地形なのでスポットは限られていて、①首相も宿泊したホテルイボワールのスイートルームかレストラン、②プラトーと呼ばれるビジネス地区の高層ビルにある大臣室、③我が社の屋上、となる。①と②はカネとコネと手みやげがないと撮影は難しいし、窓があったりするので、ご案内できるのは③ということになる。

屋上は、アビジャンを特徴付けるラグーンの水面に中央省庁や、日本大使館や、国際資本の大企業オフィスが入る高層ビルが写って、そしてコートジボワールナショナルチームのホームグラウンドであるスタジアムも見えて、完璧な撮影スポットなのだ。遮るものが途中にないから2〜3km先に広がる華やかなアビジャンが一望できる。物理的に全体が見えて撮影が出来るのはここしか無いということもあって、日本に流れるアビジャン眺望の映像は共通してこのシーンになる。日本でいえば富士山や金閣寺といったそういうイメージになるんだろう。

しかし、この撮影スポットには、そう、あの人も使った裏の顔があるー。

少し前、専門家が「大変です、御社の屋上が大変なスポットに!」と送ってくれた資料(ゴルゴ13)にはー。第528回「苦いチョコレート」と題されたこの回は、カカオ農園での児童労働がテーマで、農園での労働苦から脱出する際に仲間を殺された子どもが大人になってゴルゴに、憎っきチョコレート会社重役の暗殺を依頼するストーリーなのだ。国際資本のチョコレート会社を狙えて、しかも遮るものがないスポットとなるとー。3kmほど距離があるが、ゴルゴの腕を持ってしてはそんなことは関係ないベストスポットらしい。その後、狭い日本人社会のこのストーリーが回ると、大使館の警備担当の人から、○○さん、いくらうちに腹が立っても、狙わないでくださいよーと、お願いされるに至るほどの「暗殺スポット」に早変わりしたのである。

ということで、アビジャンにお越しの際はぜひこの観光スポットに御立ちよりください。