気仙で暮らし、働く

当事者として復興・まちづくりに携わりたいと移住した気仙での日々のこと、暮らしのことをつづります。

コメ好きな私たち

休暇から所長が帰って来た。これだけでも十分嬉しいけれど、さらに嬉しいことに、「運び屋」として、実家の新米を持って来てくれた.

実家を出始めて早くも10年。毎年、父が大事に、大事に作ったお米を送ってくれる10月頃は嬉しい。小さい時から大好きな父が作ってくれるお米を食べると何があっても大丈夫な気になれる。洗っているうちに流れそうになった3粒は目をこらして流しから拾い上げ、正確に水をはかり、きっちり30分浸水、はじめちょろちょろなかぱっぱで、ガス台から一時も離れず炊かれてゆく様子を見守る。母がつくったみそでおにぎりにして、ああ、幸せ。味はいつも通り美味しいし、今年は一等米になったということで、見かけもきれいだ。

コートジボワールでもコメは一人当たり年間消費量66キロ、国でみると143万トンが消費されている。もともとコメ文化ではないけれど、保存、調理のしやすさ、そしてやはり美味しいということで、1960年と比較すると消費量は10倍の伸びをみせている。値段も1kgあたり400FCFA(80)だから庶民の日々の食べ物として深く浸透している(他にはアチャケと呼ばれるキャッサバを発酵させたものや、食用バナナをあげたアロコも人気)。

うちのオフィスでは、休暇や出張のお土産、何か美味しいものを作ったときはランチタイムにコートジボワール人スタッフにもお裾分けするのが習慣になっているし、コメ好きという数少ない(??)価値観が共有できている部分だし…といったところで少し思いとどまる。

この新米はおすそわけはできない。所変われば、嗜好変わるで、この超貴重な新米の価値は全く分かってもらえないからだ。コートジボワールのコメ嗜好は味、混入物がないこと、安いことがトップスリーで、そのあとに入手のしやすさと調理後の増加率が多いこと、この5つだ(2012年調査)。そしてこの「味」がくせ者で、自給率40%を切るだけあってアビジャンでは希少なコートジボワール国産長粒米が一番人気で、その次にタイ米、ベトナム米、ミャンマー米と長粒米が続く。それに、ソースによく絡むから、と、破砕米とよばれる砕いたコメの人気も根強い。1000粒に1粒形が乱れたものが混入しているもののみ、という日本一等米が聞いたら気絶する。そして、コメの嗜好に新米か古米はコメ嗜好基準にはまったく関係なく、全てが混ぜて売られている。調理方法もたっぷりわかしたお湯に油と塩を大量にいれて、乱暴に茹で上げる。

ああ、こんな目にあったら日本米新米の悲鳴が聞こえる。。。