メータータクシー、交渉制
アビジャンには大きく分けて2種類のタクシーがある。「メータータクシー(taxi compté)」と、「違反タクシー(taxi banalisé)」だ。ちなみにこのフランスの旧植民地において奇跡的に、アビジャンのタクシーの9割以上はトヨタ車。曰く、どんな走り方をしても壊れないから、とのことだ。
アフリカで、メータータクシー?と驚くところだけれど、名は体をあらわさず、メーターなんて付いているわけはない。これはアビジャンはなやかなる80年代の名残で、当時は確かにメーターが付いていて、きれいなトヨタ車に交渉もなく安心して乗れたらしい。翻って、30年の危機を乗り越える間にメーターはすっかりなくなり、車はボロボロに、値段は交渉制になった。
そして違反タクシーはそのとおり、営業許可を持っていない乗り合いタクシーのこと。みんな違反と分かっているけれど、1回200FCFA(40円)位で運んでくれるので、市民の足として欠かせないし、雇用も生んでいるので「公然の違反」として市民権を得ている。
この違反タクシーはさすがに安全管理上乗る訳には行かないけれど、メータータクシーは結構乗る機会も多い。地区間をまたぐと大体1500FCFA(300円)くらい。きっと、これは外国人値段で、ローカル値段は1000くらいだけれど、まぁ、500くらいは多めに見て乗っている。それに、交渉もそんなに苦労はしなくて良くて、だいたい1500で乗れる。
時々の例外を除いて...
「2500FCFAだね」
「なんですって。私は毎日乗っていて(正しくは週末だけですが)、一回もそんなに払ったことはないわよ。最低ね。あんたのなんかに乗らないわよ。」
「ごめん、ごめん、マダム。いくらなら乗ってくれるかい。」
「最高でも1000。それ以上は払わない。いつも1000で行き来してるんだから(正しくは1500ですが。)」
「えっ、せめて1500はどう。」
「無理ねそんなに払ったことないもの(正しくはありますが)、いいのよ、のせたくなかったら行ってちょうだい」
「分かったよ。1000でいいよ。」
まったく、あたしを外国人としてなめたらどうなるか分かったか−、と勝利にひたったのもつかの間。車窓から外を眺めながら、むむむ、こんなアグレシッブな生活ではいかん、と反省。