気仙で暮らし、働く

当事者として復興・まちづくりに携わりたいと移住した気仙での日々のこと、暮らしのことをつづります。

師匠のこと

私が人より恵まれていると間違いなく感謝していることが、人生の重要な時々に師と呼べる人に出会えたことだと思う。学部時代の恩師、菊地先生、追っかけで大学院まで行った佐藤先生、そして現場の師匠である津川さんだ。

津川さんとの初めての出会いは2005年。学生インターンとしてブータンで2ヶ月半、指導を受けたのが専門家をしていた津川さんだった。国際協力の世界で働きたいけれど、どういった形が良いのか分からず悶々とするなか、国際協力の現場で、真摯に現場で悩みそしてとけ込む津川さんの背中を見なければ、今の私はなかったと思う。

津川さんは、我が社の担当者泣かせだ(幸いにして担当になったことはありませんが...)。思いっきり感覚の人だし、報告書も苦手だし、ごちゃごちゃ理由をつけるのも嫌いでならぬものはならぬ、の世界だし。けれど現場での影響力、人を動かす力は見事だった。ブータンに関わって足掛け30年。30年前の教え子が大きくなり、要職について専門家の活動を、プロジェクトを支えていた。そしてブータン政府だけでなく、村人たちにも真摯に語りかけていた。津川さんを中心にブータンと日本が回っているのがはっきりと見えた。家にもプロジェクトオフィスにもいつもブータン人や日本人が来ていて、穏やかな空気が流れていた。プロジェクトは枠組みや技術面もそうだけれど、人と人との繋がりでこそ、最後の一押しが効くんだと思い知った期間だった。インターン期間を通じて何をしなさい、これをしなさい、と言われたことは一度もなかったけれど、背中からにじみ出るいろいろな言葉を感じて、現場の地道な取り組みを作り出し支えていきたいと思った。

そんな津川さんが30年の功績を認められて外務大臣表彰を受けた、と知った。相変わらず本人は淡々としていて(そのことを本人は直接教えてもくれなかった。相変わらずだ。)、賞を受けても、今までも、これからもやり方や生き方は変わらないんだと思う。

http://www.jica.go.jp/topics/person/20130828_01.html

でも、おめでとうございます。ますます、大きな、大きな背中です.