気仙で暮らし、働く

当事者として復興・まちづくりに携わりたいと移住した気仙での日々のこと、暮らしのことをつづります。

コートジボワール、故郷となる。

1年と5ヶ月前、コートジボワールに着いた瞬間から感じていたーおかしいー、と。

私のフランス語の教科書1ページ目には確かに、18時までの挨拶は「ボンジュール」です。と、書いてあったはずなのに正午を1分すぎると「ボン・ソワール(今晩は)」と、そして、人にぶつかってしまったときは「パードン」と書いてあったのにここでは「ドゥースモン」(気をつけて!)と言われるー。うーん、いや、教科書が実態に添わないことは良く有ることだ、と信じて、それを1年以上重ねた私が間違いだったのである。

日本人でフランス語が出来る人は大抵フランスを経由して来ていてその人たちは口々に「ここの人たちって何言ってるか分かんないのよね」と言っている。なんとなく笑顔で流すけれど、なんですと?これはフランス本土の言葉とは違うでしょうか?私はよーく聞き取れますとも、理解できますとも。でも、そういえば思い当たって、私の苦手な人種はフランス人なんですよ。もっと口開けてはっきりしゃべってくださいよ。

という訳で、引き続きドナー会合の話なのだが、生粋のフランス人が入るドナー会合は緊張感が5割増しだ。きっと、日本の東北に留学して東北弁を標準語だと信じて習得し、その後東京に就職するようになった留学生の気持ちのようで、なるべく自分のアクセントを隠すようにしゃべるのである。フランス語は恐ろしい言語で常に頭のなかを時制と冠詞と前置詞と男性名詞か女性名詞かがフル回転で出入りして行くので、普通でも頭はスイッチモードなのにこれに発音まで注意して、しかも3時間とかなると終わる頃には、ぐったりしてくるのである。

はー、ドナー会合が終わって、コートジボワール人との会話に入るとなんとほっとすることか。留学生が故郷に帰って来た時の気持ちはこんな感じに違いない。